Tetherは、JPMorganのアナリストが米国の新しいステーブルコイン規制案に基づき、Tetherがビットコインを売却する必要があると予測したことに強く反論した。
JPMorganアナリストの報告書とTetherの反論
2025年2月12日、JPMorganの戦略家ニコラオス・パニギルツォグル氏率いるアナリストチームは、米国のステーブルコイン規制案がTetherにビットコインの売却を迫る可能性があるとの報告を発表しました 。
この報告書によると、米国政府が提案している新たな規制により、Tetherは金やビットコインなどの非準拠資産を売却し、代わりに規制に準拠した資産を購入する義務が生じる可能性があるとされています (CNBC)。
これに対し、Tetherの広報担当者は、報告書に対する反論を表明し、「ビットコインとTetherについて理解していない」と強調しました。また、Tether側は、米国のステーブルコイン法案がまだ確定していない段階にあり、最終的な規制の内容については今後の議論を待つ必要があるとしています 。
米国の新しいステーブルコイン法案
米国の提案されたステーブルコイン法案とは、2025年2月4日にビル・ハガティ上院議員が発表した「GENIUS法案（米国ステーブルコイン革新指針法）」を指し、この法案はステーブルコインとその発行者に対して連邦規制枠組みを確立し、ステーブルコイン市場の健全性を保つことを目的としています (Congress)。
また、2025年2月6日には、米下院のフレンチ・ヒル委員長とブライアン・スティール代表が「STABLE法案（ステーブルコイン透明性・アカウンタビリティ法案）」の草案を発表しました。この草案では、ステーブルコインに対する規制をさらに強化し、発行者が保有する準備金の透明性を高めることが求められています。
STABLE法案とTetherへの影響
STABLE法案では、ステーブルコインの発行者が保有する準備金に関する基準が厳格化され、Tetherが現在保有する準備金の66％がこの法案に準拠していないことが指摘されています。これは、ステーブルコインの価値を支える準備金に対する規制がさらに強化されることを意味しており、Tetherにとっては今後の対応が求められる重要な課題となります。
Tetherはこれらの法案について、まだ初期段階にあるとし、業界からの意見を聴取している段階であることを説明しています。Tetherは、最も極端なシナリオでも、20億ドル以上の流動資産を保有し、さらに四半期ごとに12億ドル以上の米国財務省証券の利益を上げていることを強調しています。このため、Tetherは規制が強化されても安定した運営が可能であると考えています。
TetherのCEOによるコメント
TetherのCEOであるパオロ・アルドイーノ氏は、JPMorganアナリストが「ビットコインを安く買えなかったことに嫉妬している」と批判的なコメントを行い、Tetherのビットコイン保有については今後も揺るがないと述べました。アルドイーノ氏は、Tetherのビットコインの保有量が今後も安定して維持されることを確認し、市場に対する信頼感を醸成しています。また、Tetherはその運営体制が確立されており、規制案がどのように進展しても問題なく対応できるとしています。
